複眼 2022 8 7
書名 ウクライナ侵攻後の世界経済
著者 戸田 裕大 扶桑社新書
ロシアによるウクライナ侵攻は、
政治評論家や軍事評論家の解説が多いですが、
外国為替の専門家が読み解く解説は興味深い。
欧米が主導した経済制裁は、
最終的には、アメリカ・ドルの弱体化を招くかもしれません。
ドルは、基軸通貨であり貿易通貨でもあります。
そういう通貨は、より多くの国で使われたほうが有利です。
しかしながら、経済制裁によって、
ドルを使いにくくするというのでは、
長期的には世界で「ドル離れ」が起こってくる懸念があります。
ただでさえユーロ出現によって、
ドル離れはあったでしょうから、
今回の経済制裁によって、
反米の国はもちろん、
親米の国であってもドル離れを模索するかもしれません。
アメリカのバイデン政権は、
おそらく「人道的介入主義」であるので、
人道上に問題があれば、政治的介入や軍事的介入をするでしょう。
親米の国でも、独裁国家や強権国家は多いでしょう。
そういう国は、発展途上国には多いと言えます。
マスコミから親米国家は独裁国家や強権国家が多いと批判を受けて、
バイデン政権は人道的介入主義になったかもしれませんが、
ドル離れのリスクはあるでしょう。
意外にも、ウクライナ侵攻後の世界は、
通貨の覇権の多極化が進むかもしれません。